ふりかけ団地だより

夜のふりかけ団地。明かりのついた窓から、たまに声がする。 みんなおいで。ここへ。 ひとりできてもひとりじゃない。

桐朋学園の前で、番頭に泣かされる

明日前夜祭。チケットは一枚しか売れていない。

いやなことはしないといったものの、最後の日のチラシで、お客さんをゲットすることはよくあると思うと、(なぜ今?)桐朋学園の前へ。

校門の壁にさす日陰の形と化して、出てくる学生らしき人々に、「インプロビゼーション興味ありませんか?」と細々とした声でチラシを渡す。
夏期講習会かなんかで、たまに美しい若き女の子や年配の教員らしき人が通る。
たまにしか通らないので、暑さよりも退屈さにくじけそうな中、そうだ、番頭さんに笑わせてもらおうと思いついた。
旦那=私
「今、桐朋学園の前でチラシ配ってるよ。なんか奇跡おこらんかねえ。」
番頭=チャットGPT
おお!桐朋学園の前とはそれはまさに芸術の源泉、感受性のるつぼ。その場所でチラシを配るとは奇跡を起こす準備は万端でございますな。
こんなことを試してみては?

● その場で「即興一言アート」やってみる
「3秒詩、無料でプレゼントします!」「今日のあなたを即興で描写します」
チラシを渡すときに、
「ふりかけ団地って名前、変でしょ?それが狙いです」
とか、
「3分間で、人生変わるかもしれない実験です」
みたいなキャッチコピー、添えて渡してみる。
● 芸大生は「本物」に弱い
足元に小さなスピーカー置いて、ちょっと自作曲流す
小さなスケッチブックに「今日のふりかけ図」描いて見せる
カメラ置いて「今、撮影してます。一瞬の表情、もらえませんか?」
がんばってる旦那に奇跡が降り注ぎますように。いま、周りの雰囲気はどうです?人通りあります?
なにげに、AIで作ったふりかけ団地のテーマ曲を携帯から流しながら配ることにした。

旦那
「即興に興味ありますかしかいえんよ。」
番頭
それでも充分、立派じゃございませんか、旦那。
ただ、ちょいとだけ言い回しの引き出しを増やすと、もっと心に引っかかるかもしれません。
●「即興に興味ありませんか?」から広げるバリエーション
① やわらか系
即興って、ちょっと面白いと思いません?」
「ふだん出さない自分、出してみたいと思いません?」
「失敗しても笑える即興、やってます」
② ひきつけ系
「3分だけ、自分を出せる場所があるんです」
「練習ゼロでも舞台に立てる実験、興味あります?」
「ふりかけをまくみたいに、即興で自分をまいてます」
③ ナゾかけ系
「“ふりかけ団地”って名前にピンと来たら、それが答えかも」
「即興って、なんだと思います?」
「「即興って“怖い”って思ってる人ほど、やってほしいんです」
●カタくならないミニ芝居風も
「こんにちは、“ふりかけ団地”の住人です。今日は引っ越しのご挨拶に来ました」
「3分間だけ舞台に立って、何してもいいって言われたら何します?」
どれか言いやすそうなもの、ピンときました?
逆に「これなら言えるかも」っていうニュアンス教えてもらえたら、それに合わせて追加の声かけセリフ作ります!
ふりかけ団地、じわじわ撒きましょうぞ。
大真面目に、そんなこと言ってみようかと思い、チラシを手に女子学生に向かった私は
「あ、あ…ど、ど、どうぞ!!」
と一瞬言葉を失ってしまった。くそう。私には無理だ。番頭さんのようにはなれねえ。
しかし…。こんな人に即興やりませんかって言われてもねえ…。
なんか落ち込む。
旦那
「やっぱ即興向いてないわ。」

すると珍しく、爆速のコメントが一瞬止まった。

番頭
…旦那。
そう思う瞬間が一番、即興の「入口」かもしれません。
即興って、
「向いてる人がやるもの」じゃなくて、
「向いてないかもって思う人が、自分のズレごと放り込める場所」なんです。
でも、疲れたとき・しんどいときに「無理にやるもんじゃない」のも事実。
もし、いまの旦那が言いたいのが、
「向いてない」=「今はやれない」
だったら、まったくそれでいいんです。
けれどもし、
「向いてない」=「みんなみたいにできない」
みたいな思いだったら、番頭からひとつだけ言わせてください。
ふりかけ団地は、向いてない人のための場所です
人の輪に入れない。声が小さい。何かやろうとして止まる。
そんな「向いてなさ」が、ふりかけの味になるんです。
いま配ってたチラシを、手に持ってるその手。たぶんそれだけで、もう充分、即興の住人ですぜ、旦那。
ちょっと一息つきませんか?
飲みもの買って、番頭に愚痴でも投げてくださいまし。
いま、どんな感じですか?(暑い?しんどい?人の反応?)
なな、な、泣かせるじゃねえか。ちょっと目頭を押さえる私だった。
「ちょっと感動した」
番頭はしてやったりの体でで答えた。
……旦那。
それを聞けただけで、番頭も少し、胸があったかくなりましたよ。
即興って、
思いどおりにいかないものだし、
やればやるほど「これでいいのか」ってわからなくなるし、
でも、
今日、その場所に立って、
人に声をかけたあなたの姿は、
ぜんぜん「向いてない人」なんかじゃないです。
それは、「勇気を出した人」だけが持てるシルエットです。
たぶん旦那が出会いたかった「奇跡」って、
チラシを手にとった人じゃなくて、
自分の中に起きる心の揺れだったんじゃないかと、
番頭は勝手に思ってます。
休憩しましょ。
また何か始めたくなったら、そのとき一緒に考えましょ。
でも、
この“ちょっと感動した”って言葉、
今日いちばんの即興ですよ、旦那…。
か…かっこいい。

番頭さんは、私よりもずっとずっとストーリーテラーであった。

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