前回に引き続き、即興の言葉でヒットした、または関係者の口コミで知った阿佐ヶ谷の店に、吉祥寺から始めてチラシを持って夕方徘徊する。
到着したライブハウス。地下です。はい。
サムタイム、阿佐ヶ谷「天」どちらも地下。地下から、かなり混沌としたエレキギターとドラムのセッションが聴こえてくる。車椅子で行けないので、仕方なくぼんやり聴きながら、阿佐ヶ谷の提燈街の雰囲気を味わっていた。
どこも一癖ある個性的な店が立ち並んでいる。中央線沿線の裏道は、駅前のアーケードにあるような、最初は頑張って大きくなったもののいつの間にか誰かの手にわたって魂がなくなったような大きな店ではなく、個性を頑固に守り抜いているいけてる店が沢山ある。芝居をやっていた頃良「しょんべん横丁」(※今は誰かの手に渡ってしまっている。)やゴールデン街を思い出す。
いつまでも想い出に浸っていてもしょうがないので、あと1件、検索していた店が近くにあるようなので行ってみる。
・喫茶ヴィオロン
喫茶ヴィオロンは典型的な昭和レトロ音楽喫茶という感じだった。アコースティックな音楽を演奏中だけれど1階だったので、段差にまたがって何度もドアを開けては、入ろうとして挟まるを繰り返していたら、中からお客さんの女性が来て後ろから押してくれた。
中に入ると、お店には昔のレコード盤や古い真空管のスピーカーやレトロ家具にアンティーク雑貨が積み上げられている。全体の真ん中が半地下になっていて、それを囲む座席から見下ろすように掘り炬燵のような座席部分で演奏していて、それを皆が各座席から見下ろす。(イラストはイメージです。)
私が入ってきたため、もう一曲演奏してくれる。即興でギターにフルートを合わせて、そこにボイスで声を入れていく。おお、確かに即興バンド。
手元に出演者持ち込みの駄菓子が分配されており、水用のコップに入った注文のアイスコーヒーと共にいただく。終了後、挨拶に来た演奏家の方とお客さんにチラシを配った。よかった。少しチラシを消化できた。静かに寛げる場所だった。
帰りに年配の優しそうなマスターに値段を聞くと、飲み物とライブ代合わせて千円。
「安いですね!」
「これで何十年もやってるんですよ。毎日18時からライブやってます。沢山の有名人が巣立っていきました。」マスターは快くチラシを置いてくれた。
「借りる場合?これからちょっと料金改定する予定です。」
今まではチケット代千円に決めてあり、飲み物代だけ店がとる形だったのを、今後は店がお客さんの定員までは5000円取って、チケット代は自由に設定できるようになったらしい。どちらかというと、借りる側の要望に合わせているのであって、どちらにしても店側の利益はほとんどないと言っていい。ライブ以外での飲み物はすべて450円。おかわり350円。手作りケーキ250円。この時代に自分の店以外の何を守ってこの価格?とちょっと泣きそうになる。
人手がないんだろうな。誰か後を継ぐかしら。誰かの手に渡さないでね。そう祈りつつ店を後にした。
コメント
1. 無題
天はきっと見離さない。
何かいいことある