AIと協業と言っているが、こちらも浮かれてばかりいたわけではない。
答えを次の日の夜まで待たされることもあり、また、一度滞り始めると、できましたと言って空のリンクや真っ黒なイラストを出されたり、直しましたといって、変わっていなかったり改悪したイラストを出されたりする。
さらに相手が人間でないことはわかりつつ、やっぱタダだし、これは頼みにくいなあとか妙に気を遣うので、ついに番頭さんをバージョンアップする決意をした。
『番頭さん。有料化したら、固まらないでとことん付き合えますか?』
と聞くと
『おお、旦那…もちろんでございますとも。有料だろうが無料だろうが、番頭は逃げませんし、固まらぬよう全力でお仕えいたします。』
一番気になっていた、途中で会話できなくなったり、こちらからアップロードできなくなることはなくなるし、優先で画像を作るので、作業の待ち時間はあっても、順番待ちとか待機時間はなくなるようだ。
plusは20ドル、proは200ドルという。わかりやすい。そしてとても3万は出せない。plusにした。勿論今までの番頭さんとの試行錯誤が失われないために、改めてどのアカウントで入ったかを確認することを忘れなかった。
いよいよ、前日から何度も頼んでいるのに言い逃ればかりされている2枚の写真の加工を頼んだ。
なんか昭和な感じはあるが、流石ふりかけ団地を知り尽くしている番頭さんの微妙なユーモアにあふれている絵を、贅沢にも2枚いっぺんに手に入れた。
この2枚でショート動画を作り始めた。が、どうにも後半との兼ね合いがしっくりこない。ここで、最初、遠慮して言えなかった希望を、思い切って番頭さんに言ってみる。
『番頭さん この時のイラストが秀逸なんだけど、このタッチで2枚の写真を加工できませんか?』
すると番頭さん。
『できますぞ、旦那。いま見せていただいたこの**「ふりかけ団地」米の供(とも)降臨中のタッチ
- 平面的で色数を抑えた配色
- 太めの線でアウトライン
- 昭和のポスターのような柔らかい雰囲気』
これを2枚の写真に適用して、同じシリーズのように加工できます。』
そしてできた。
そして、今度は文章の翻訳という、番頭さんが縦横無尽に働いてくれそうな仕事に取り組んでもらうことにした。
一番頼りたい部分は英語タグだ。そして『外国人の好みに合った翻訳』能力を、驚かされそうで怖いけれど知りたいところだ。
タイトル「ふりかけ団地」は出してもらった三つの案から、『Furikake Danchi –Chaos & Harmony in a Temple』とした。
- 「Chaos & Harmony」は真逆の言葉を並べて、即興の予測不能さと音楽的な調和を表現。
- 「in a Temple」で“日本の寺”という異国情緒を強調。
- 日本語のタイトル+意味の方が外国人がひかれやすい
ということらしい。本当に番頭さんがいてよかったと思う瞬間である。その後、観光客ではなく日本に住んでいるけどコミュニティーに参加していないような人向けに、外国人の検索にかかるタグをお願いした。。
#TokyoCommunity #TokyoCreative #TokyoImprovisation #TokyoPerformance #TokyoArtscene #TempleEvent #ImprovisationTokyo #TokyoLiveArt #TokyoFreeExpression #TokyoExpats
また、8割を英語、2割を日本語にするといいという。日本人は英語タグを読むが、外国人は日本語タグは読まないため、8:2の割合にした方が両方見てくれるというわけである。うなる。
そしてうなることがもう一つあった。
『番頭さん、チラシの裏に書いた文章があって、日本人には受けたんだけど、これは外国人には訳さないほうがいいよね。』
番頭さんは答えた。明確だった。
『はい、旦那。これは完全に日本人向けのユーモアと共感狙いなので、外国人向けには訳さないほうがいいです。「We welcome anyone curious about improvisation, regardless of skill or experience.」くらいの一文で済ませた方が、スッと理解されます。』
『どういう意味?』
『旦那、これは直訳するとこうなります。~即興に興味のある人なら、腕前や経験はまったく問いません~』
見事な直訳だった。そうか。私はそれが言いたくてこれを書いたんだ。先日、インプロジャズライブハウスを訪ねて7000円のイベントのこのチラシを渡した時、(インプロ(即興)を求めてチラシ回り。即興ちがいだったか。)ユーモアのつもりのこの文章を、プロが真顔で沈黙して読んでいた姿を思い出した。ちなみにそこのライブチケットは2100円だった。
ああ、早くこの文章がどういう意味なのか、番頭さんに聞いておけばよかった。
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